重要判例解説(1);最高裁判所平成22年6月17日判決

1 事案
Xら(原告・被控訴人=付帯控訴人・被上告人)は,平成15年3月,Y1(被告・控訴人=付帯被控訴人・上告人。Y2~Y4も同じ)から,新築住宅(以下,「本件建物」)及びその敷地を共同で購入した。
ところが,本件建物には構造耐力上の安全性に関わる重大な瑕疵があることが判明し,それらの除去のためには本件建物を建て替えるほかなくなった。
そこで,Xらは,Y1に対して住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)旧88条1項(原95条1項)及び民法634条2項または不法行為に基づく損害賠償を請求として,Y2~Y4(Y2は本件建物建築工事施工者,Y3Y4はともに本件建物設計者兼建築工事監理者。以下,Y1~Y4をまとめて「Yら」とする)に対して不法行為に基づく損害賠償として,建替費用相当額の金銭及びそれについての遅延損害金の支払いを求めた。
 第1審(名古屋地判平成20年11月6日)は,Xらの損害賠償請求を認容した。だが,遅延損害金については,Xらは本件建物に居住するという利益を本件建物引渡しまでの5年4か月間享受しており,その総額は遅延損害金の額に見合う程度には達しているとして,損益相殺の結果棄却した。
 原審(名古屋高判平成21年6月4日)は,上記の損益相殺を行わずにXらの遅延損害金の支払いを認めた。なお,Yらの控訴については棄却しているので,損害賠償請求については原審判決のままである。

2 判旨
上告棄却
「売買の目的物である新築建物に重大な瑕疵がありこれを建て替えざるを得ない場合において,当該瑕疵が構造耐力上の安全性にかかわるものであるため建物が倒壊する具体的なおそれがあるなど,社会通念上,建物自体が社会経済的な価値を有しないと評価すべきものであるときには,上記建物の買主がこれに居住していたという利益については,当該買主からの工事施工者等に対する建て替え費用相当額の損害賠償請求において損益相殺ないし損益相殺的な調整の対象として損害額から控除することはできないと解するのが相当である」
前記事実関係によれば,本件建物には前述のような「構造耐力上の安全性にかかわる重大な瑕疵があるというのであるから,これが倒壊する具体的なおそれがあるというべきであって,社会通念上,本件建物は社会経済的な価値を有しないと評価すべきものであることは明らかである。そうすると,Xらがこれまで本件建物に居住していたという利益については,損益相殺ないし損益相殺的な調整の対象として損害額から控除することはできない。」
「また,Xらが,社会経済的な価値を有しない本件建物を建て替えることによって,当初から瑕疵のない建物の引渡しを受けていた場合に比べて結果的に耐用年数の伸長した新築建物を取得することになったとしても,これを利益とみることはできず,そのことを理由に損益相殺ないし損益相殺的な調整をすべきものと解することはできない。」
さらに,補足意見として,宮川光治裁判官は次のように述べている。すなわち,安全性を欠いた建物に「居住していることを利益と考え,あるいは売主等からの賠償金により建物を建て替えると耐用年数が伸長した新築建物を取得することになるとして,そのことを利益と考え,損益相殺ないし損益相殺的な調整を行うとすると,賠償が遅れれば遅れるほど賠償額は少なくなることになる。これは,誠意なき売主等を利するという事態を招き,公平ではない。」

3 解説
新築住宅に重大な瑕疵があり建て直すほかない場合,その建替費用相当額の損害賠償を請求しうる。
このとき,買主がすでに住宅の引き渡しを受けて居住しているのであれば,居住利益ありとして損益相殺が行われる余地もある。
本件判決は,この点について,本件建物が構造耐力上の安全にかかわる重大な瑕疵を有することを重視して,このような住宅に居住することが利益当たらないとして,居住利益との損益相殺を否定したものである。 

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