重要判例解説(4);最高裁判所平成21年11月9日判決

1 事案
X(原告・被控訴人=付帯控訴人・被上告人)は,貸金業者A及びそれを吸収合併したY(被告・控訴人=付帯被控訴人・上告人)との間で継続的な金銭消費貸借取引を行っていた。 
ところが,Xは利息制限法の制限利率を越えて利息を弁済しており,これを元金に充当すると過払金が発生していた。それにも変わらず,Yらは元金が残存しているものとしてXに弁済を求め,過払金を受領し続けた。
Xは,Yらの上記行動によって精神的苦痛を被ったとして,訴訟を提起した。
その中で,Xは,①不当利得の返還として過払金合計1068万円の支払,及び,これに対する法定利息金の支払を求め,②民法704条後段の損害賠償として,過払金返還請求訴訟に係る弁護士費用108万円の支払,及び,これに対する遅延損害金の支払いを求め,③不法杭に基づく損害賠償として,慰謝料90万円及び弁護士費用15万円の合計105万円の支払,並びに,これに対する遅延損害金の支払を求めた。
 第1審(札幌地判平成19年7月20日)は,請求①についてはAYが民法704条の悪意の受益者に当たるとした上で全部認容,請求②についてはXが支出した弁護士費用のうち107万円余については不当利得と相当因果関係のある損害であるとして一部認容,請求③については不法行為が成立しないとして棄却した。
 原審(札幌高判平成20年10月16日)は,請求②についてはAYが民法704条の悪意の受益者に当たるとした上で,同条後段は不当利得制度の趣旨である公平の原理から悪意の受益者の責任を加重した規程である旨述べて,全部認容した。
請求③については第1審と同じく不法行為不成立として棄却され,請求①については全額弁済がなされたため取り下げられた。

2 判旨
破棄自判。
「不当利得制度は,ある人の財産的利得が法律上の原因ないし正当な理由を欠く場合に,法律が公平の観念に基づいて受益者にその利得の返還義務を負担させるものであり(最高裁昭和45年(オ)第540号同49年9月26日第一小法廷判決・民集28巻6号1243頁参照),不法行為に基づく損害賠償制度が,被害者に生じた現実の損害を金銭的に評価し,加害者にこれを賠償させることにより,被害者が被った不利益を補てんして,不法行為がなかったときの状態に回復させることを目的とするものである(最高裁昭和63年(オ)第1749号平成5年3月24日大法廷判決・民集47巻4号3039頁参照)のとは,その趣旨を異にする。不当利得制度の下において受益者の受けた利益を超えて損失者の被った損害まで賠償させることは同制度の趣旨とするところとは解し難い。したがって,民法704条後段の規定は,悪意の受益者が不法行為の要件を充足する限りにおいて,不法行為責任を負うことを注意的に規定したものにすぎず,悪意の受益者に対して不法行為責任とは異なる特別の責任を負わせたものではないと解するのが相当である」と判示して,原判決中Y敗訴部分を破棄し,第1審判決中②の請求に係るY敗訴部分を取消し,同部分に関するXの請求を棄却し,②の請求に係るXの附帯控訴を棄却した。

3 解説
民法704条後段の解釈については,原審のように悪意の受益者について責任を加重した規程であるとする立場(特別責任説)と,悪意の受益者も不法行為の要件を満たす場合は不法行為責任を負うということを注意的に規定したものにすぎないとする立場(不法行為責任説)とに大別できるところ,本件判決は最高裁が後者の立場であることを初めて示したものである。 

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