重要判例解説(7);最高裁判所平成22年4月20日判決

1 事案
X(原告・被控訴人・上告人)は,貸金業者Y(被告・控訴人・被上告人)との間で,平成9年12月18日から平成19年12月3日にかけて,基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借取引を行っていた。なお,この契約は借入れと弁済が継続的に繰り返されるもので,弁済は各貸付に個別的に対応しているのではなく借入金全体に対して行われるものだった。
Xは,本件基本契約に置いて定められた利息は利息制限法(平成18年法律115号による改正前のもの。以下同じ)1条1項の制限を超えるものであると主張して,過払金71万1523円の返還などを求めて訴訟を提起した。
その際,Xは,制限利率は取引の極度額または元本によって定まると主張し,Yは元本を基準に制限利率が定まると反論した。
XとYでは元本についての解釈を異にしており,Xは約定利率によって充当計算した結果得られた貸付金残高と新たな貸付金の合計額だと主張したのに対して,Yは制限利率によって充当計算した結果得られた貸付金残高と新たな貸付金の合計額
であると主張した。
Xの主張によれば,平成15年9月8日以降は極度額または元本の額が100万円超となり,それ以降の取引には年15%の制限利率が適用されることになる。
これに対して,Yの主張によれば,平成17年11月4日までの各取引は元本額が10万円以上100万円未満の範囲内にあったことになるので年18%の制限利率が,同年12月6日以降の各取引については元本額が10万円未満となり年20%の制限利率がそれぞれ適用されることになる。
 第1審(那覇地判平成20年6月19日)は,Xの請求を全額である71万9598円について認容した。
 これに対して原審(福岡高那覇支判平成21年2月10日)は,Yの主張を認めて,68万7367円の範囲でXの請求を認容した。

2 判旨
破棄差戻し。
「継続的な金銭消費貸借取引に関する基本契約に基づいて金銭の借入れと弁済が繰り返され,同契約に基づく債務の弁済がその借入金全体に対して行われる場合には,各借入れの時点における従前の借入金残元本と新たな借入金との合計額が利息制限法1条1項にいう『元本』の額に当たると解するのが相当であり,同契約における利息の約定は,その利息が上記の『元本』の額に応じて定まる同項所定の制限を超えるときは,その超過部分が無効となる。この場合,従前の借入金残元本の額は,有効に存在する利息の約定を前提に算定すべきことは明らかであって,弁済金のうち制限超過部分があるときは,これを上記基本契約に基づく借入金債務の元本に充当して計算することになる。
そして,上記取引の過程で,ある借入れがされたことによって従前の借入金残元本と新たな借入金との合計額が利息制限法1条1項所定の各区分における上限額を超えることになったとき,すなわち,上記の合計額が10万円未満から10万円以上に,あるいは100万円未満から100万円以上に増加したときは,上記取引に適用される制限利率が変更され,新たな制限を超える利息の約定が無効となるが,ある借入れの時点で上記の合計額が同項所定の各区分における下限額を下回るに至ったとしても,いったん無効となった利息の約定が有効になることはなく,上記取引に適用される制限利率が変更されることはない。

3 解説
利息制限法1条1項は元本の額を基準に制限利率を定めている。
また,本件のような基本契約に基づいた継続的な金銭消費貸借においては,一連の消費貸借取引で生じた過払い金は各取引で生じた借入金債務に順次充当されるとするのが通例である(最判平成15年7月18日,最判平成19年6月7日,最判平成
19年7月19日,最判平成20年1月18日など参照)。すなわち,ABCという一連の取引が行われ,Aについて過払金が生じた場合,Aの元本に充当してもなおその過払金が存在する場合には,BCの借入金債務にも充当されるのである。そうなると,継続的な金銭消費貸借取引における過払金充当では元本額が推移していくことになるので,適用すべき制限利率がどうなるのかが問題になる。また,それに先立って,元本をどうとらえるかも問題となる。
本件判例は,元本についてはYの主張を取った上で,元本の額が上がった場合に制限利率が下方修正されることはあっても,元本の額が下がった場合に制限利率が上方修正されることはないという判断を示した。

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